企業間(B2B)取引におけるEDI(Electronic Data Interchange/電子データ交換)は1960年代後半から利用されているため、未だにレガシーなシステムを使い続けている企業も数多く存在します。注文書(Purchase Order)、請求書(Invoice)、事前出荷明細(Advance Ship Notice)といった従来のB2B取引の処理には、一連のステップを必要とするため、多くの紙文書と人手が必要となり、そのため単純なミスや属人的なトラブルが発生しやすいものでした。しかし、EDIを利用することで紙文書は不要になり、人の介入が最小限に抑えられるため、こうした問題を解決することができました。
では、従来のビジネスコミュニケーションや情報交換の形態と比較して、EDIにはどのような利点があるのでしょうか。
EDIのメリット
運用コストの低減
EDIは、アプリケーション間のデータ交換を自動化することにより、ビジネス上の重要なデータが時間通りに送信されることが保証されます。これにより、紙、印刷、複製、保管、ファイリング、郵送、文書の検索などの作業が簡素化、または排除されることで、少なくとも35%の営業経費を削減します。また、管理費、リソース費、メンテナンス費も大幅に削減することができます。ある組織では、より効率的なEDIソリューションに切り替えたことで、ASNの罰金を12%削減したという例もあります。
ビジネスサイクルの向上
受注処理では、処理スピードが最も重要です。EDIは、データの入力、ファイリングなどの手動処理にかかる時間を大幅に削減する自動化を可能にするため、ビジネスサイクルを61%高速化します。在庫管理は、リアルタイムのデータ更新により、合理化され、より効率的になります。
エラーを減らしデータ精度を向上させる
また、手作業は非効率であるばかりでなく、キー入力や再入力のミス、誤った文書の取り扱いなどによるエラーが発生する可能性が高くなります。EDIは、組織のデータ品質を大幅に改善し、エラーのあるトランザクションを削減することで、オーダー再作成の必要性をなくします
業務効率の向上
ヒューマンエラーを最小限に抑えることができるため、組織は効率性を高めることができます。従業員は、煩雑な業務に追われることなく、より重要な付加価値の高い業務に専念できるようになります。また、EDIは、商品とサービスの迅速な提供により、組織の顧客および取引先との関係管理を改善することができますし、以下のようなメリットももたらします。
セキュリティの強化
EDIは、多種多様な通信プロトコルやセキュリティ規格の中でデータを安全に共有できるため、取引の安全性を高めます。
ペーパーレスで環境にやさしい
紙から電子取引への移行は、CO2排出量を削減し、企業の社会的責任を促進します。
多くの企業が、こうしたEDIによるメリットを享受している一方で、まだEDIに対する漠然としたイメージから移行に不安を感じている企業もあります。
EDIに対する悪いイメージ
初期費用が高い
EDIは、以前は多額の先行投資を必要としたため、特に中小企業にとっては導入の障壁となっていたことは事実です。しかし、他のテクノロジーと同様、EDIも時代の変化とともに低価格化が進められています。また、EDIシステムは、ビジネスプロセスの自動化・高速化による時間とコストの節約により、投資額以上の価値をすぐに得ることができます。
初期設定に時間がかかる
EDIは安価になっただけでなく、導入や既存アプリケーションへの統合が迅速になり、技術者でなくても操作できるWeb EDIというオプションも広く知られるようになっています。
基準や規格が多すぎる
EDI導入には対応が必要な伝送フォーマットやプロトコルが多すぎると考えている企業も多くいます。実際、業界や取引先ごとに多種多様な伝送フォーマットが存在します。以下は、その一部です。UN/EDIFACT、ANSI ASC X12、GS1 EDI、TRADACOMS、HL7などです。このため、常に最新の伝送フォーマットを使用する大企業との取引において、企業が不利益を受ける可能性があります。したがって、幅広いフォーマットをサポートし、将来的に新しいプロトコルに対応することを約束するプロバイダーを選択することが必須となります。
システムへの投資
オンプレミスのEDIシステムを選択した場合、ウイルス、ハッキング、マルウェア、その他のサイバーセキュリティの脅威から保護する必要があり多額の投資を必要とする場合もあります。しかし、OpenTextを中心に、多くのプロバイダーは、システム保護を含むソリューションをクラウドで提供しています。
堅牢なデータバックアップ
EDIは重要なビジネスの中心となるため、常にメンテナンスが必要です。システムがクラッシュした場合に備えて、データのバックアップをしっかりとっておく必要があります
数十年前に開発された技術であるにもかかわらず、EDIは企業間(B2B)取引の世界では支配的なプロトコルであり続けています。EDIの仕組み自体は何年も前からあまり変わっていませんが、企業間でEDI文書を交換するシステムは、ほとんどがクラウドに移行し、より安価で使いやすく、機能も充実しています。
初めてEDIを検討する場合、メリットとデメリットを比較検討することが重要です。しかし、それ以上に重要なのは、常に最新の機能とセキュリティ対策を提供しながら、ビジネスの成長に合わせた拡張性を保証する適切なプロバイダーを選択することです。EDIを活用して業務を効率化したい場合、様々なメッセージタイプや通信プロトコルに対応し、効率的で信頼性の高い、安全なデータ共有を可能にするEDIソリューションがカギになります。詳しくは、シェアNo.1の弊社までお問い合わせください。