サプライチェーン・ジャーニー

新型コロナウイルスをきっかけに、様々な分野における…

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10月 21, 20211分で読めます

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新型コロナウイルスをきっかけに、様々な分野におけるニューノーマルへの対応が加速していますが、特に、サプライチェーンの分野においては、加速する変化への対応がより強く求められています。

世界的なパンデミックにより、調達・生産・物流・販売といったサプライチェーンにおいて、需要に対する不確実性、生産制約、出荷・物流の遅延といった様々な課題が浮き彫りになった2020年でしたが、依然コロナ禍が続く2021年においては、将来に向けて準備していたデジタル技術の活用や、CSR強化やカーボンニュートラルといった社会情勢に対する対応が、より強制的に、より早いスピードでの実行が必要となってきています。

日本企業の現在地

弊社顧客の欧米企業に目を向けると、アフターコロナはもとより、将来を見据えたビジネスの見直し・展開、変化への対応力を備えるべく、多額の投資を実施する企業も多く見受けられますが、日本企業においては、必要性は十二分に認識しつつも、取組みのスピードは十分とは言えず、限定的な対応に留まっている企業も多いと感じます。

日本の製造業を支える業務システムは、長年の現場業務や業務改善を反映して作り込まれたシステムとして、きめ細かな機能が実装されている一方で、長年積み重ねたシステム変更と属人化により、全体仕様の把握が困難となり、刷新の際に、棚卸や影響調査に多大な工数がかかることも少なくありません。また、サプライチェーン最適化は、取引先や各業務領域間で足並みを揃える必要があり、ビジネスの関係性から調整にも時間がかかります。

こういった現状から、サプライチェーンDXを始めとするサプライチェーン高度化という命題に対して、多くの日本企業は、サプライチェーンをエンドツーエンドで最適化するのに苦労しています。そのため、老朽化したシステムの更新やクラウド化、各業務エリア範疇内での局所的デジタル化に留まるケースも多く見受けられるのが現状です。

サプライチェーン高度化ステップ

では、サプライチェーン高度化を推進していくにあたり、どのようなステップが必要なのか、考慮すべき点はどういったことか、弊社が考えるステップは下記となります。

①サプライチェーンデジタル化

何よりもまず、高度化の第一歩であり根幹となるのが、「サプライチェーンデジタル化」となります。これまで、電話・メール・FAX等で実施されていたマニュアル作業を削減し、紙ベースのプロセス撤廃を目指し、サプライチェーン上のエンドツーエンドでの100%デジタル化の実現が必要です。この際、必要となるのが、取引関係や企業規模に応じた統合手段の提供となります。

大規模で取引量が多い取引先には直接接続するEDI連携やVANを介した連携、中小規模で取引量がさほど多くない場合にはWeb EDI連携やモバイルによる手段の提供といった具合です。

また、ビジネスの立場や業界によって、相手先の指定するデータフォーマットや業界標準に従う必要が生じます。しかし、取引先やその業界指定のデータフォーマットや通信手段といった標準仕様が自社とは異なる場合、その標準に合わせる対応を自社で実施する必要があります。このように、企業間データ連携においては、業界標準の熟知や専門的スキルも必要となりますが、取引先との接続調整を含めた導入から運用サポートは、アウトソーシングサービスを利用することで自社対応は不要となります。

既存のマニュアル業務をデジタル化することで、領域毎に業務プロセスの見直し・改革は必要となりますが、次のステップとなるサプライチェーンDXに進む上で必須であり、最終的に得られる価値も大きくなります。 弊社でもデジタル化のためのB2Bコンサルティングサービスを提供しており、これまで電話、メール、FAX等で実施していた取引先との調達業務や販売業務などのデジタル化へ向けた業務整理のサポートを事前にさせて頂いております。

②サプライチェーンDX

デジタル化の次のステップとして、「サプライチェーンDX」があります。このステップでは、局所的な個別最適ではなく、あくまで分断化・サイロ化防止のため、業務横断で自社を取り巻く、社内外のエコシステムの全体最適を目指します。例えば、調達プロセスのみではなく、物流プロセスや販売プロセスに至るまで、分断なくデータ連携が可能で透明性がある状態です。サプライチェーンに関わる業務データを全て単一基盤で集約でき、業務横断での可視化を実現することで、データが利活用できるイメージです。

製造業の弊社のお客様は、経営戦略のもと、デジタル推進本部という業務横断/横くしでDX化を図る部署ができたことにより、一気にDX推進が加速しました。日本企業において、DXが進まない要因として、IT部門のガバナンス統制や組織の壁(足並みが揃わない)があります。

この企業でも、業務領域ごとにシステムが存在していましたが、各システムへの取引先との授受データを集約管理できるサプライチェーンDXプラットフォームにより、業務横断でのデータの可視化を可能としました。各領域の現場データが集約され、現場が活用できることが競争優位性を高めると考えています。

③サプライチェーンレジリエンス、エシカルサプライチェーン

次のステップが「サプライチェーンレジリエンス」や「エシカルサプライチェーン」といった具体的なテーマにもとづく最適化です。全体可視化・連携された情報を活用し、分析にもとづく例外リスクを検知し、次の一手を打つ俊敏性を得ることを目指し、大きな混乱が生じた場合のサプライチェーンプロセスやフローへの影響を把握することで、迅速な対応を実現します。

全体を鑑みるサプライチェーンコントロールタワーの役割を備え、過去に何が起きていたのか、今何が起こっているのか、将来何が起こり得るのか予測をし、行動につなげることを可能とします。

例えば、サプライチェーンデータに加え、気候や災害データも加味し、シナリオにもとづいた計画から、潜在的なリスクや影響範囲をシミュレーションし、受発注や生産リスクを管理して在庫調整や生産調整につなげるディスラプションマネージメントも可能となります。

④アダプティブサプライチェーン

最終的なステップは、アダプティブサプライチェーンです。構築された自社を取りまくサプライチェーンエコシステム全体に対して、KPIを設定・評価し、必要に応じて構築されたサプライチェーンネットワークを修正し再構築します。具体的には代替調達や生産拠点替えなどが該当します。

これを支援するため、弊社では、サプライチェーンリスクとサプライヤまたは自身のコンプライアンスを監視・管理するサプライチェーンリスク管理ソリューションを来年リリース予定です。ダッシュボードを介してサプライヤの企業統計、財務、およびESG指標にアクセスできるだけでなく、有害メディアへの書き込み(風評リスク)や、PEP(外国の重要な公的地位にある者)、制裁リスクのあるサプライヤのリアルタイムモニタリングも提供します。これにより、リスク管理者は適切なリスク軽減プロセスを実行でき、代替サプライヤをセルフサービスでオンボーディングする仕組みも提供可能となる予定です。

最後に

弊社のサプライチェーン高度化を支えるプラットフォームは、国内外含めて130万社が接続されており、年間900兆円もの商取引をサポートしています。多くの企業がこのプラットフォームへ接続しているため、効率的に新たな取引先との連携が可能です。また、弊社のアウトソーシングサービスは、各国企業からのリクエストや国外の規制・コンプライアンスに追随して、四半期ごとにサービス拡充をしており、継続的な投資も実施しています。日本のお客様のために、これらの実績と新たなサービス、そして国外の先進的な事例や具体的な取組みをご紹介することで、サプライチェーンの高度化に向けたサポートができれば幸いです。

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