総合物流サービスを展開するNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社。同社はグローバル事業拡大に向けてグループ経理システムをSAP S/4HANAで統合するのに合わせて、証憑管理ソリューションOpenText Extended ECM for SAPを導入しました。これにより、関連法令を遵守したうえで請求書・支払通知書・各種証憑書類をあわせて120万件以上を電子化して、ペーパーレス化を推進しています。
SAP S/4HANAのグループ展開に向けリモートワークとペーパーレス対応を検討
NXグループの持株会社として、日本通運などのグループ会社を統括するNIPPON EXPRESSホールディングス。同社は2019年9月に「プロジェクトITS」プロジェクトを立ち上げました。目的はIFRSへの移行、連結納税制度の導入によるガバナンス強化、SAP S/4HANAによるグループ全体の経理システムおよび経営基盤の構築でした。経営戦略本部 経営プラットフォーム構築推進室長の日下昌彦氏は次のように語ります。
「個別導入してきたグループの経理システムをグローバル経理基盤として標準化し、ガバナンスを強化しながらシェアードサービスセンター(SSC)化やビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を進めることが狙いです」
SAP S/4HANAのグループ展開にあたって検討したのが、リモートワークとペーパーレスへの対応を実現する証憑管理ソリューションの導入です。念頭にあったのは電子帳簿保存法に準拠した帳簿保存や、インボイス制度に準拠した請求書などの発行・発信でした。配達単位で証憑書類が発生する物流業界では、請求書や支払通知書を中心に膨大な伝票や証憑書類を扱います。従来の紙の書類の処理には出社が必須で、保管倉庫やスペースも課題となっていました。そこで、証憑書類の電子化を検討しました。
「国際税制の潮流として電子インボイスの流れがあり、経理システムをグローバル展開するうえで証憑書類の電子化は避けられない課題でした。さらにBCP(事業継続計画)の観点からも、グループ会社全体で証憑を電子化してペーパーレス化を図り、テレワークに対応する必要がありました」(日下氏)
グローバルでの実績を評価しOpenText Extended ECMを採用
同社は証憑管理ソリューションとして、SAP S/4HANAとの連携で定評のあるOpenText Extended ECMを採用しました。
「グローバルでの実績、SAP S/4HANAとの技術的な親和性や拡張性を考慮するなら一択で、グローバルの商習慣対応やAI OCR機能なども魅力的でした。当グループでは以前から物流現場で取引先との受発注データの交換にOpenTextのB2B/EDI統合ソリューションを利用してきたため、これまでの実績と信頼性も含めて採用を決めました」(日下氏)
2021年4月よりSAP S/4HANAと各種周辺システムによるグループ経理基盤の構築に着手した同社は、まずグローバルテンプレートを開発し、2022年1月にグループ2社にパイロット導入。作業委託会社(BPO)や、日本通運をはじめとした主要関係会社に順次展開し、2023年10月までに国内グループ120社への導入を終えました。