EDIのクラウド移行を成功させるポイント

本記事を読むことで、オンプレEDI環境からクラウド…

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3月 04, 20251 min read

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本記事を読むことで、オンプレEDI環境からクラウド移行を図る際の具体的なメリットと手順が一挙に把握できます。コスト削減や保守作業の軽減、システム拡張の容易化など、オンプレからの移行に伴う要点を総合的に学べ、移行後の運用方法やコスト管理の重要ポイントも押さえられるため、セキュリティと可用性を強化したい企業にとって意味のある結論が得られるでしょう。本記事を通じて、クラウド移行のポイントを具体的に理解し、自社に最適なアプローチを見極める指針が得られます。

1. オンプレEDI運用が抱える課題

企業間での取引情報をデータ交換するEDI(Electronic Data Interchange)は、これまでオンプレミス環境を主軸として導入・運用されるケースが多く見られました。しかし、取引記録の増加やビジネスプロセスの高度化にともない、自社でのサーバー維持管理にはさまざまな問題が浮上し始めています。具体的には、運用や保守の手間、IT担当者の負担、セキュリティ対策の強化など、多岐にわたる課題を抱えることが少なくありません。

1.1 保守や運用コストの増大

オンプレEDI環境を長期間運用していると、サーバーのハードウェア更新やソフトウェアのライセンス費用などランニングコストが年々上昇しやすい状況に陥ります。また、設備投資が必要な時期には大きなイニシャルコストも発生します。さらに、ITインフラの保守に専門スタッフのみならず、EDI独自の仕様など専門知識を有したスタッフを配置したり、外部の業者へ保守を委託したりする場合、人的費用や契約費用が積み重なり、結果的にコスト負担が膨れ上がる要因になるのです。

加えて、従来環境での強化策としてハードウェアを追加導入する際には、サーバーラックや電源、空調設備などシステム全体を拡張するための物理的スペースと費用も考慮しなければなりません。これらの要素が複合的に重なり合い、オンプレ運用のコストは想像以上に大きくなることが多いのです。

1.2 障害対応やシステム拡張の手間

オンプレ環境では、障害が起きたときに即座に復旧するための人員確保とノウハウが不可欠です。たとえば、サーバーの物理障害やネットワーク機器の不具合が起きると、予想外のダウンタイムが発生し、ビジネスへの影響は多大になります。こうした緊急事態に迅速に対応するには、日ごろから障害対応に精通したエンジニアの確保と、施設へのアクセス権限を含む十分な体制が整っている必要があります。

さらに、新しい取引先とのデータ連携などで機能追加が求められた場合、オンプレ環境ではシステム拡張にともなうサーバーやネットワーク機器の導入・設定変更が発生することがあります。これらはクラウド環境に比べて柔軟性に欠けるため、短期間での対応が難しくなるケースも見受けられます。加えて、オンプレEDIはデータ変換や接続プロトコルの拡張に関しても個別でカスタマイズしなければならないことが多く、作業の手間が増加する点が大きな課題です。

2. クラウド移行で得られるメリット

2.1 コストやリソースの最適化

クラウドへの移行によって、オンプレミス環境で発生していたサーバー調達費やハードウェア更新時の初期投資額を大きく抑えられます。さらにマネージドサービスを活用することで、日々の運用管理に伴う労力や外部委託コストなども削減しやすくなります。需要変動が激しい場合でも、必要な分だけリソースを柔軟に拡張・縮小できるため、使いすぎや供給不足といったリスクを軽減しながら最適化を実現しやすい点も魅力です。これにより、EDIシステムにおけるデータ交換量の増加や通信量の変動にもスムーズに対応でき、ビジネスの成長を支えるインフラが安定します。

2.1.1 導入コストの削減

オンプレミスで新システムを導入する場合には、サーバーやストレージなどを購入し、設置・保守を含めた環境構築コストが高額になるケースがあります。一方でクラウドでは初期費用を抑えながら利用開始が可能であり、短期間の検証にも適した柔軟なライセンス形態が用意されています。ベンダーによってはフリートライアルや段階的な料金プランも提供されているため、無駄な投資を抑えて着実にクラウド運用へと移行できます。

2.1.2 運用コストの最適化

オンプレミス環境では定期的なメンテナンス費や障害発生時の修理費など、見えにくいコストが積み重なる傾向があります。クラウドへ移行するとベンダー側でインフラを管理し、障害対応やセキュリティパッチの適用を行うため、長期的な観点でみると企業側の管理負担や保守コストが大幅に低減します。

2.2 システムの柔軟性と可用性向上

EDIシステムをクラウドで運用する最大のメリットの一つが柔軟性と可用性の向上です。多様なサービスやツールを取り入れやすく、従来のオンプレミス環境では難しかった迅速なスケーリングが可能になります。また高可用性や障害耐性を高める機能があらかじめ用意されているため、システム停止リスクの低減にもつながります。可用性が高まることで、自社の取引先や顧客に対して安定したデータ交換サービスを提供し続けられる点が大きな利点です。

2.2.1 スケーラビリティの向上

クラウド上では需要変動に合わせてリソースを自動的に拡張できる機能が充実しています。オンプレミス環境では倍増した需要に対応するためには新たなサーバーの購入やネットワーク機器の強化などが必須でしたが、クラウドならば必要な時に必要な分だけリソースを追加できます。これによりビジネス拡大時にも機動的にシステム規模を調整し、過剰投資や機会損失を防ぎながら安定した運用を維持しやすくなります。

2.2.2 高可用性の担保

主要クラウドサービスでは複数のデータセンター間で冗長構成を組み、サービスを中断させない仕組みが整っています。オンプレミス環境だと自社内で冗長構成を構築するために大きな設備投資が必要ですが、クラウドでは比較的低コストで分散配置やバックアップを実現可能です。さらにサービスレベルアグリーメント(SLA)による可用性保証を提供するベンダーも多く、24時間365日の安定稼働を求められるEDIには非常に有効な手段となります。

3. クラウド移行を検討する理由

3.1 セキュリティ技術の進化

現代のクラウド環境において、多くの事業者が提供するセキュリティサービスは日々高度化しています。例えば、ゼロトラストモデルや暗号化技術を活用することで、従来の境界防御だけに頼らない包括的な保護を実現し、情報漏えいや不正アクセスへの対策を強化できます。オンプレ環境ではセキュリティ機能の拡張や最新技術の導入に大きなコストと手間がかかることから、常に最新のセキュリティを自動的に享受できるクラウドに注目が集まっています。

さらに、クラウド事業者はWAF(Web Application Firewall)の導入や脆弱性診断などの運用支援も提供しており、コンプライアンス対策やセキュリティ監査を含めた総合的なサポートが受けられます。これらの最新技術や支援体制によって、情報セキュリティ対策を高い水準で維持し続けることが容易になるため、オンプレ環境からの移行を検討する大きな理由となっています。

3.2 オンプレ環境の老朽化リスク

サーバーやネットワーク機器を始めとするオンプレミスのハードウェアはメンテナンスや更新作業を怠ると動作不良や性能低下につながるリスクが高くなります。また、OSやミドルウェアのサポート切れによるセキュリティホールが放置される可能性もあるため、老朽化した環境を維持することは、企業にとって大きな脅威となります。

老朽化が進むと突然の障害によるダウンタイムや修理・交換コストの増大が発生し、事業継続計画(BCP)の観点からもリスクが高まります。一方、クラウド環境であれば最新のハードウェアや仮想化技術に依存するため、オンプレのような物理的老朽化リスクを大幅に低減できます。システムの更新もクラウド事業者が定期的に行うため、利用企業は資産管理にかかる負担を軽減し、事業活動に集中しやすくなります。

さらに、オンプレ環境ではシステム増強の際に大規模な投資やスペース確保が必要ですが、クラウドならば必要に応じたスケールアップやスケールダウンが容易に行えます。このように柔軟なリソース管理が可能な点も、オンプレ環境の老朽化によるリスクを回避しながらビジネスを成長させるためにクラウド移行を検討する大きな要因となっています。

4. 移行前に準備しておくこと

オンプレEDIシステムからクラウドへ移行を検討する際には、事前準備の精度が移行後の運用効率や トラブル発生リスクの軽減に大きく影響します。十分なプランを立てるために、システムの全体像を 把握し、組織内のルールや体制を整えておくことが不可欠です。ここでは、移行前に押さえておくべき 二つの重要なポイントをご紹介します。

4.1 既存システムの棚卸

まずは現行システムの全容を正確に把握することから始めましょう。ハードウェア、ソフトウェア、 ネットワーク構成、稼働中のアプリケーション、データ量などを一覧化し、運用に必要な環境を明確化します。 これにより、クラウド環境で運用可能な部分と、追加検討が必要な部分を切り分けることができます。

4.1.1 アプリケーションの依存関係と互換性の確認

レガシーシステムや特定のミドルウェアと連携している場合、強引にクラウドへ移行すると 上手く動作しないリスクがあります。そこで各種アプリケーションやサービスが互いにどのように依存しているかを 洗い出し、互換性の確保ができるか慎重に検証する必要があります。オンプレ環境でのみ稼働する ライブラリがある場合には代替手段の検討も進めましょう。

4.1.2 バージョン管理とドキュメント整備

運用年数が長いオンプレ環境では、度重なるパッチ適用やマイグレーションによって 正確なバージョン管理が難しくなっているケースがあります。クラウド移行前にすべてのソフトウェアや OSのバージョンを整理し、関連するドキュメントを整備することで、移行トラブルの 早期発見と対処がしやすくなります。また、ドキュメントが充実していれば、移行後のクラウド環境での 運用マニュアルとしても役立ちます。

4.2 社内体制やルールの見直し

EDIシステムの移行は、技術的な課題だけでなく、組織体制や運用ポリシーの変更も伴います。 人員配置やセキュリティ方針、運用フローといった要素をどのように見直すかも重要な検討事項です。 特にクラウドの特性を活かすためには、迅速な意思決定と対応ができる体制づくりが求められます。

4.2.1 セキュリティポリシーの拡充

クラウド移行に際しては、アクセス制御や暗号化プロトコルなど従来のオンプレ環境とは 異なる視点でのセキュリティ対策が必須です。たとえば、機微情報を含むデータの取り扱いについて、 どこまでクラウドに委託し、どこから社内に留めるべきかの判断が必要になります。社内のコンプライアンス ルールや監査項目を再設定することで、移行後の運用リスクを最小化できます。

4.2.2 組織内の意思決定フローの再構築

オンプレ中心の運用では、システム管理部署や外部ベンダーといった限られた専門部門だけで 対応していたケースが多いかもしれません。しかしクラウド運用ではアジャイルな対応が期待されるため、 関連部署との役割分担や運用ルールを改めて整理し、スピード感のある意思決定が可能な体制を 構築することが重要です。また、ベンダーコントロールを含む契約面の見直しや、サポート窓口の一本化なども あわせて検討しておきましょう。

5. クラウドへの移行手順と注意点

5.1 移行スケジュールの策定

オンプレで稼働しているEDIをクラウドへ移行する際は、まず具体的な移行スケジュールを明確化することが重要です。各部門の繁忙期や外部との取引量などを勘案し、移行作業のタイミングを調整します。特にダウンタイムが許容される時間帯やバッチ処理の停止が可能な期間を洗い出し、システム停止の影響範囲を最小限に抑える計画を立案しましょう。加えて、オンプレ環境のハードウェア保守契約やソフトウェアライセンスの更新時期も考慮し、クラウド移行作業に必要な時間とリソースを確保します。

5.1.1 移行プロジェクト体制の確立

EDIシステムは社内外の連携に直結するため、移行プロジェクトを横断的に管理できる体制を作ることが不可欠です。情報システム部門だけでなく、調達や購買、サプライチェーン、あるいは経理や営業など各部門から担当者を選出し、スケジュールや要件定義を緊密にすり合わせます。社内外の連携が多い企業ほど、コミュニケーションロスを防ぐ仕組みが重要となります。

5.1.2 予算とリソース配分

移行スケジュールと並行して、必要な予算や人的リソースを明確にします。クラウド移行では初期費用や運用コストの変動が起こるため、現行のオンプレコストとクラウド利用料金の試算を比較検討しましょう。また、導入前のトレーニングや運用要員の確保も見落とさず、計画段階で組み込むことが大切です。

5.2 クラウドサービス選定のポイント

EDIのクラウド移行では、サービスの種類や提供元によってセキュリティ機能やサポート範囲、スケーラビリティなどに違いがあります。自社システムの要件に合致するクラウドサービスを選定するには、いくつかの要点を押さえて比較検討を行いましょう。

5.2.1 サービスの互換性と拡張性

オンプレで利用しているEDIシステムとクラウドサービスの互換性は、移行後の運用安定性に直結します。通信プロトコルやデータ形式が対応しているかを確認したうえで、将来的にサービス拡張が可能かどうかも見極めが必要です。いまや国内だけではなく、海外企業とのビジネス拡大や取引先の増加に伴い、スケーラビリティの確保は事業継続性を高める大きな要素となります。

5.2.2 コストとサポート体制

クラウドサービスの料金形態は従量課金や定額制などさまざまです。ランニングコストとサポート費用を含め、オンプレとの総費用を比較したうえで選択しましょう。また、障害発生時や設定変更時にどのようなサポートを受けられるかも重要なポイントです。国内にサポート拠点があり、日本語による迅速な対応が得られるサービスであれば、移行後の安定運用に寄与します。

5.3 テスト環境の構築と検証

クラウドへの移行前には、実運用と同等の環境に近いテスト環境を構築して入念に検証することが不可欠です。テストフェーズをしっかり設けることで、移行後のトラブルやシステム障害を未然に防ぐことができます。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に同時稼働させることも検討し、データ移行や通信設定の問題を洗い出しましょう。

5.3.1 接続テストと通信プロトコルの確認

EDIでは外部連携が前提となるため、取引先との接続テストを綿密に行う必要があります。プロトコルのバージョン管理やセキュリティ設定が正しく行われているか、暗号化通信やVPNなどの設定が適切に機能しているかを確認しましょう。取引先のシステム変更に伴うテスト期間を確保することも忘れずに行います。

5.3.2 フォールバック体制の検証

クラウド移行中、トラブルが発生した場合の迅速な切り戻し体制を整備しておくことも大切です。オンプレとのハイブリッド状態で移行を進める場合、フォールバック先としてオンプレ環境を一時的に維持するケースがあります。障害発生時にどのタイミングでオンプレ側に切り替えを行うかなど、事前に手順を明確にしておきましょう。

6. EDIクラウド移行を成功させるポイント

6.1 段階的な移行プランの導入

オンプレミスで運用しているEDIシステムを一気にクラウドへ移行すると、予期せぬ障害や手戻りのリスクが高まります。そこで段階的に移行を行うことでリスクを分散し、ITインフラ全体への負担を最小限に抑えることが可能です。まずは小規模な業務からテストとしてクラウド化を進め、安定稼動を確認したうえで運用範囲を拡大していくプロセスを取り入れると、移行の失敗リスクを抑えながら着実にクラウドへの移行効果を得ることができます。 また時期を明確に定めた移行スケジュールをあらかじめ策定し、移行手順や役割分担を明確化すると、プロジェクト全体の見通しが立ちやすくなります。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に並行稼動させることで、万一の場合の切り戻し対応を容易にする安全策も検討しましょう。こうしたプランはクラウド移行後の運用トラブルを最小限に抑えるだけでなく、社内外への信頼感を高める要素にもなります。

6.2 セキュリティ基準と監査の徹底

EDIクラウド移行の際に最も懸念されるのが、セキュリティとコンプライアンスの確保です。ただクラウドサービス事業者は、ISO27001やSOC2といった国際的なセキュリティ基準を満たすための投資や監査を継続的に行っていることが多く、オンプレ環境よりも高いセキュリティ水準を維持できる場合があります。

自社のセキュリティ方針に照らし合わせながら、アクセス制御やデータ暗号化、ログモニタリングなどの対策を厳格に実施することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを極小化できます。また監査手順の策定と定期的なレビューを行うことで、万が一インシデントが起きた際にも迅速に対応できる体制を構築することが重要です。これらの取り組みを徹底することで、企業間取引の基盤であるEDIの信頼性を損なわず、安全にクラウド活用が進められるでしょう。

6.3 オンプレとのハイブリッド運用

クラウドへ全面移行するのが理想的とはいえ、システムの中にはレガシー環境やオンプレ特有のアプリケーションが存在するケースもあります。そうした場合には、オンプレ環境とクラウド環境を連携させることで、柔軟な負荷分散やBCP対策を可能にし、ビジネス継続性を強化することができるのです。

ハイブリッド運用を行う際は、クラウド側からオンプレ側へアクセスする経路やデータ転送量、セキュリティルールなどを慎重に検討し、運用設計を進める必要があります。例えば予備系システムをクラウド上に用意し、オンプレシステムに障害が発生した際に即座に切り替える仕組みを整えておけば、取引先とのデータ交換を停止させることなく業務を継続できます。こうしたハイブリッド構成は、レガシー環境からの離脱が難しい企業にとっても現実的かつ効果的なアプローチです。

7. 国内で利用される代表的クラウドサービス

クラウドへの移行を検討する際、多くの企業が注目するのが国内でも広く利用されているサービスです。オンプレ環境からクラウドへの移行に際し、信頼性やサポート、導入実績などを重視する企業が多いため、国内外を問わず実績豊富なベンダーのサービスが選ばれる傾向があります。ここでは、EDI導入にも適した代表的なクラウドサービスと、それぞれの特長や活用事例について解説します。

7.1 OpenText Business Network Cloudの特長

OpenText社のEDIサービスは、クラウドベースの統合プラットフォームを通じて、あらゆる規模の企業にエンタープライズグレードのB2B統合機能を提供します。 主要なEDI規格(ANSI、XML、EDIFACT、Tradacomsなど)や通信プロトコル(AS2、FTP、SFTPなど)に対応し、取引先とのシームレスなデータ交換を実現します。 また、経験豊富なプロフェッショナルチームによる24時間365日のサポートにより、迅速なエラー解決や複雑な統合の実装を支援します。さらに、事前構築されたデータマップやフォームのライブラリを活用し、新しいビジネスパートナーの迅速なオンボーディングが可能です。

これらの特徴により、ビジネスプロセスの効率化、コスト削減、データ精度の向上が期待できます。

7.1.1 導入事例:富士フイルムBI社が選んだクラウド移行策

同社はこれまで、世界に分散する生産管理や販売管理など50の社内システム間のEDIデータ連携を、オンプレミスの自社開発システムで実行してきた。だが、受発注や生産スケジュール、出荷などに関するデータのやり取りが国内拠点間だけでなく、国内と海外拠点間、海外拠点間同士でも発生するため、EDIによる接続環境が複数存在し、業務の複雑化やITコストの肥大化を招いていた。OpenTextのクラウドサービスを利用することで、分散管理していたEDIシステムの一元管理を実現し、効率的かつセキュアなデータ連携や、IT運用コストの削減を実現した。
https://digital-tech-insight.jp/opentext/resources/cs_fujifilm_business_innovation/

8. 移行後の運用とコスト管理

オンプレ環境からクラウドへ移行した後は、柔軟性や拡張性に優れたシステム基盤を手にできる一方で、継続的なコストの把握と運用方針の徹底が必要になります。これまでオンプレサーバーで行っていた運用作業はクラウド特有のプロセスへ変化し、利用料の考え方やモニタリングの環境も変わるため、移行後の運用管理体制を再設計することが欠かせません。また、EDI環境におけるデータやトランザクションの取り扱いは企業間連携の要となるため、トラブルを未然に防ぐセキュリティ対策や障害対応プロセスも含め、抜け漏れのない運用と最適なコスト管理が大切になります。

8.1 メンテナンスと技術サポート体制

クラウドへの移行後は、システム障害や予期せぬトラブルが発生した際の復旧プロセスを定義したメンテナンス計画が欠かせません。オンプレであればハードウェア障害や電源トラブルなど物理的な要因への即時対処が必要でしたが、クラウドではプロバイダ側がインフラ保守を行う一方、自社の設定やアプリケーション部分は継続的なケアが求められます。運用チームはクラウド特有の障害事象やサポート範囲を理解し、迅速なエスカレーション体制を整備しておきましょう。 以上のように、移行後の運用とコスト管理では強固な監視体制と最適化の仕組みづくりが不可欠です。正確なモニタリングを行い、チーム体制と外部サポートを連携させることで、クラウド移行の恩恵を最大化しながら安定したEDI運用を維持することができます。

9. まとめ

クラウド移行は保守や運用の負担軽減など多くの利点をもたらします。しかし、事前に既存システムの棚卸しや社内体制の調整を行わないと、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。移行時は段階的計画やテスト環境での検証、セキュリティ基準の遵守を徹底することでリスクを抑えられます。オープンテキストは、企業向け情報管理ソリューションを多角的に提供するグローバル企業として広く知られています。日本国内でも多くの企業が、電子取引や文書管理システムなど多岐にわたるアプリケーションを利用しており、オンプレミスからクラウド環境への移行においても導入実績が増えています。特にEDIソリューションの最大の特長は、既存のオンプレミス環境からの移行を段階的かつ安全に進めることができる点です。データマッピングや通信プロトコルの変換など、複雑な作業をアウトソーシングサービスとして提供しており、多くの経験からシステム切り替えによる業務停止を最小限に抑えるアプローチを取ることができ、EDIシステムの切り変えをスムーズに行うことにより、サプライチェーン全体での効率化をサポートすることが可能です。
 
OpenTextのEDIデータ連携クラウドサービス(OpenText Business Network Cloud)についてご質問やご相談、導入事例などにご興味がございましたら、こちらよりお問合せください。
https://www.opentext.com/ja-jp/contact

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OpenText™ は、情報管理ソフトウェアおよびサービスのグローバル・リーディングカンパニーです。 ビジネスクラウド、ビジネスAI、ビジネステクノロジーの包括的なスイートを提供し、企業が複雑化するグローバルな問題を解決できるよう支援しています。 オープンテキスト(NASDAQ/TSX: OTEX)の詳細については、https://www.opentext.com/ja-jpをご覧ください。

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