印刷インキメーカーとしてグローバルに事業を展開するサカタインクス株式会社では、全体の手綱を握る管理体制の重要度が高まる中、紙中心に行われてきた本社業務の非効率が、迅速な意思決定の妨げとなっていました。そこで同社は、SAP S/4HANAへの基幹システム刷新とともにOpenText Content Management(Extended ECM)を導入。証憑とデータの統合管理により、ペーパーレス化や情報の一貫性確保とともに、今後のAI活用への基盤を整備しました。
グローバル展開を支える本社業務における紙中心の運用からの脱却
1896年(明治29年)に創業されたサカタインクスは、パッケージ用や金属缶用の印刷インキ事業に加え、産業用インクジェットインキ・画像表示材料用顔料分散液などの機能性材料事業のほか、基材にさまざまな付加価値を与える機能性コーティング剤などを展開しています。日本国内にとどまらず、米州、欧州、アジア圏の20を超える国と地域に拠点を有し、60カ国以上へ製品を供給するなど、高い海外売上比率を誇っています。
グローバル展開が加速する一方、それを支える本社業務には課題が生じていました。国や拠点ごとにシステムや業務の進め方が異なるため、本社では全体の把握が難しいことに加え、長年続いてきた紙主体の業務文化による非効率なプロセスが、迅速な経営判断の妨げとなり始めていました。
「紙ベースの運用では、納品書や請求書の受領から押印、回覧、保管に至るまで膨大な工数がかかり、必要な書類を探し出すのに時間を要していました。また、物理的な保管によるコストや紛失・破損のリスク、属人化による業務停滞などの生産性低下もありました」と、情報システム部長の小川浩二氏は当時の状況を振り返ります。
さらに、基幹システムのデータ層と証憑文書などのコンテンツ層が分断されているという構造的な問題もありました。データと紙の証憑を手作業で照合する際のミス発生のリスクに加えて、監査や電子帳簿保存法の対応に必須の「真実性」の担保や「可視性・検索性」を満たすため多大な負荷がかかり、紙前提の運用には限界が近づいていました。
SAPシステムと一体で使え、業務・権限・統制をセットで設計できる文書管理基盤
サカタインクスはこれらの問題が個別のものではなく、業務と文書、データが分断されたまま運用されている構造そのものに課題があると判断。その解決には、本社業務を標準化し、グローバルでも通用するガバナンスを確立することが急務でした。そこで同社は、業務とデータを再設計することを決断し、2022年から基幹システムの刷新プロジェクトを本格化しました。新たな基幹システムにはSAP S/4HANAを採用し、業務プロセスをグローバル標準のシステムに合わせるFit to Standardを基本方針として、将来にわたって使い続けられる業務基盤の構築を目指しました。
業務設計と並行して文書・証憑の整理にも着手し、文書管理ソリューションの検討を進めました。複数の製品を比較検討した結果、求める要件に合致したのがOpenText Content Management(Extended ECM)です。
「第一の選定の理由は、SAP S/4HANA中心の業務とシームレスに統合できることです。また、SAP環境と統一された権限管理が可能で、改ざん防止や完全性保持、自動保存、『誰が、いつ、何をしたか』という監査証跡の確保など、当社の要件を網羅していました。さらに、Fit to Standardの方針と矛盾せず、運用負荷を増やさずに導入できる点を評価しました」と、情報システム部 スペシャリストの岡田純子氏は語ります。
また、電子帳簿保存法の検索要件を満たす形で一元管理ができる点も大きな決め手でした。スキャン文書や電子データの改ざん防止措置を自動で適用し、証憑保存ルールを統一することで、法令対応と業務効率化を同時に実現できるためです。
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