半導体製造装置や分析装置などの製造・販売を手がける株式会社日立ハイテク。全社的な業務プロセス変革を推進している同社は、証憑類のペーパーレス化に向けてSAP S/4HANA Cloud とシームレスに連携するOpenText Core Archive for SAP Solutions を導入し、納品書と請求書の電子化を実現しました。これにより大幅なコスト削減に加え、柔軟な働き方の実現、原本紛失の防止、セキュリティ強化などの効果を達成しています。
業務プロセス改革の1テーマとしてペーパーレス化を推進
企業ビジョン「ハイテクプロセスをシンプルに」を掲げ、「見る・測る・分析する」のコア技術で顧客の事業を支援する日立ハイテク。同社は2018年に、次の10年の成長戦略を実現する業務革新プロジェクト「DX-Pro」を立ち上げました。その狙いは、業務プロセスのシンプル化と経営情報のデジタル化により、ビジネスのスピードアップ、業容の拡大とキャッシュコンバージョンサイクルの短縮、働き方改革の推進を実現することにあります。
DX-Proを支える主要プロジェクトとして、現在は国内グループおよび海外拠点にSAP S/4HANA Cloud の導入を進めています。デジタル推進統括本部 クロスドメインDX本部本部長の竹林亜紀恵氏は次のように語ります。
「海外拠点からSAP S/4HANA Cloud の導入を開始し、現在は欧米、台湾、韓国、マレーシアに展開が進んでいます。国内は本社の営業拠点、製造拠点で順次稼働を開始しています。DX-Proではあるべき姿(To-Be)を追求することを掲げ、グローバルスタンダード、Fit to Standard、クラウドファースト、モバイルファーストの4つのポリシーでシステム導入を進めています」
SAP S/4HANA Cloudの導入と並行して、変革のテーマの1つに掲げているのがペーパーレス化です。すでにDocuSignによる契約書の電子化やSAP Concurによる領収書の電子化は実現しているものの、取引先から送付される納品書や請求書などの証憑は紙の保管を続けていました。そこで証憑のペーパーレス化に向けて、保管枚数が多く財務諸表にも影響をおよぼす納品書と請求書を先行して電子化することにしました。デジタル推進統括本部クロスドメインDX本部コーポレートDX部の筧実佐子氏は次のように語ります。
「社内証憑89種類のうち、最も枚数の多い納品書は月に35万枚、請求書は2.5万枚の受領がありました。また、PDFで受領した請求書や納品書もすべて印刷して紙で保管していました。しかも請求書は紙の支払依頼表とワンセットで回覧し、納品書も紙で回覧していました。経理担当者は証憑を見ながらSAPに入力しますが、入力後の証憑を倉庫で保管していたため、システムとの紐付け作業も人手によるアナログ管理となり、担当者の負担が増えていました。そこで、納品書と請求書を電子化したうえで、紙の保管を前提とした業務プロセスから電子保管を前提とする業務プロセスに改め、併せて2024 年開始の電子帳簿保存法(電帳法)への対応準備を進めることにしました」