SIBOSでの話題の中心だった、APIバンキングの未来とは

昨年(2017年)のSIBOS(SWIFT Int…

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10月 09, 20181分で読めます

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昨年(2017年)のSIBOS(SWIFT International Banking Operations Seminar)での議論の多くは、わずか2年前にはほとんど興味を惹かなかったものが中心でした。 バンキングにおけるAPIの使用は、末梢的な課題から多くの銀行の思考の中心へと急速に移りました。 銀行がAPI関連ビジネスに向けてギアを上げ始めていることから、API投資からいかに価値を生み出すかが、多くのバンカーにとっての問題です。

銀行業界全体がオープンなAPIバンキングに真剣に取り組んでいることに疑う余地はありません。 SIBOSで公表された聴衆の投票結果によれば、すでに43%にAPI戦略があり、さらに42%がその開発を考えていました。 急速に近づくEUのPSD2規制といった立法環境を離れてみれば、銀行がAPIを受入れるべき真の理由はシンプルです。それは顧客が求めるものだからです。

業界のコメンテーターからは、顧客がその財務情報を共有することに痛痒を感じない傾向が強まっていることが示唆されました。 それが真実であろうとなかろうと、顧客は製品やサービスが要求や達成したいことによりマッチしていることを、より強く求め望んでいることは否定できません。 これには革新的な手段と、さらにもっと顧客中心的(Customer-Centric)となることが必要です。

オープンなAPIバンキングは、この進化を銀行業務にもたらす可能性を秘めています。 Fintechが銀行のデータと顧客すべてをはぎ取るという初期の恐れは過ぎ去ったかもしれませんが、オープンなAPIをどのように活用するのが最も良いか、銀行がまだ分かっていないことをSIBOSで露になりました。 同じアンケートで、半数以上の読者がオープンAPIに関連する最大の課題は価値の創出だと考えていることが判明しています。 APIは結局のところ、配信メカニズムにすぎません。 最も重要なのは、銀行のデータ、IP、そして最終的にはアルゴリズムです。 革新的な機能やサービス、銀行のデジタル資産を効果的にマネタイズすることを通して、価値は生まれるのです。

SIBOSで多くの人々が同意したのは、包括的なアプローチを取る必要があるということでした。 個別のAPI戦略をテクノロジーレベルで作成すべきではありません。 全体的なデジタルプランの一環とみなすべきです。 ビジネスレベルでは、組織でより緊密なコネクションとコラボレーションを実現することが不可欠です。 また外部とも同様であり、それは顧客とFintechを意味します。

常にオープンAPIを中心とする変化の最前線にいたのが決済業界です。 2015年から2017年の間の500を超える新しい金融サービスAPIのうち、160以上が決済のために設計されています。 決済におけるAPIの重要性を示す一例として、SWIFT gpi Challengeがあります。SWIFTは、APIを使って共同イノベーションを推進するよう、業界に求めています。銀行とFintechが、SWIFT gpi (global payments innovation)の最上位に乗るオーバーレイサービスを開発するために協力していることが、ここで再度強調されています。 銀行は、セキュアかつコンプライアンスに沿って決済APIを公開し、これを新しいタイプの商品やサービスの提供にどう活用するかを検討する必要があります。

OpenText™AnalyticsAPIを開発してきましたが、今後さらに多くを提供します。 AIを決済業界に適用する可能性についての詳細は、こちら(英文) をご覧ください。これはSIBOSで議論された内容と一致しています。 API戦略の開発と実装を検討する銀行は、次の5つの重要な分野にフォーカスすべきであると考えられます。

API Center of Excellenceを確立

迅速かつ効果的なAPI開発に必要なスキルと知識は、簡単には得られません。 APIの作成、セキュリティ、管理、保守などの分野で、適切な能力を社内で開発するために時間を取ることをお勧めします。これがAPI採用とビジネスイノベーションの推進に役立ちます。 協力する多くのパートナーもまたAPIの理解と実装に苦労する可能性があることに注意してください。 自前のCenter of Excellenceは、コラボレーション促進、イノベーション強化、収益実現に至る時間の短縮を助けることができます。

API デベロッパーポータルを設置

オープンAPIの重要な特質は、自社のAPIを中心とする開発者のコミュニティを成長させることができることです。 大手銀行の多くは、できるだけ多くの優れた開発者を引き付けるためにオープンバンキングデベロッパーポータルをすでに設立しています。 ポータルはセキュアで適切に管理される必要がありますが、適切なスキルレベルをリクルートする時間とコストをかけずに、新しいAPIや興味深いAPIを開発するためのリーチと能力を広げることができます。 いくつかの銀行では、Fintechから才能を引き付ける手段としてもポータルを利用しています。

クラウドベースのサービスを活用

多くの銀行で重要な技術的課題は、レガシーシステムの取り扱いです。 オープンなAPIは、既存のインフラストラクチャと互換性がない可能性があります。 クラウドベースのサービスを活用することで、レガシーシステムをAPI戦略から切り離すことができます。 これには2つの利点があります。 まず、「APIファースト」アーキテクチャへの移行をより迅速に行うことができます。 第二に、戦うべきレガシーシステムを持つのは自行だけではありません。 クラウドベースのサービスを使用することが、パートナーや顧客とのコラボレーションと実装を助けてくれます。

APIインテグレーションに包括的なアプローチを取る

多くの金融サービス企業にとって、価値創造の秘訣は、より早く顧客ニーズを理解し、APIを開発/修正し、新しいサービスを実装することです。 これには、決済、会計システム、資金管理などの幅広い銀行システムにAPIを統合する機能が必要です。 ある大手銀行では、顧客のERPシステムから自行のERPシステムへのインテグレーションを実現するAPIを、既に開発済みです。これによって、顧客は当該銀行に関連する業務を自社のERPからすべて直接行うことが可能となり、銀行は新規顧客をより迅速に獲得できるようになりました。

APIの専門家を引き付ける

Center of Excellenceの構築には時間がかかりますが、いったんできたとしても、その革新と改善を継続するために必要なスキルと経験を必要なときに得ることは簡単ではありません。 信頼できるパートナーと協力することで、自行のオープンAPI戦略に合った正しい製品や技術、コンプライアンスの専門ノウハウを常に確保することができます。 オープンAPIのエキスパートからより多くのガイダンスとサポートを受けることができれば、より迅速に高品質のAPIを開発することができます。

オープンAPIバンキングは、今後数年間でバンキングと決済業の多くの部分を変えてしまう可能性があります。新しいチャンスを活用し、イノベーションと新たな価値のためにデザインされた、確かなAPI戦略を実行する組織が勝者となることは間違いありません。 一方でこれをすべて自行だけの力で達成することは、不可能ではないとしても困難です。 私たちはコラボレーションと共同作業の新しい時代に入っています。 今すぐ正しいステップに進むことで、製品やサービスを改善するだけでなく、新しいビジネスモデルにもオープンAPIを活用することが可能となります。

日本語脚注: SIBOS (SWIFT International Banking Operations Seminar) は、1978年から国際銀行間通信協会(SWIFT)が毎年開催している国際会議です。Sibos 2017は10月16~19日にカナダのトロントで開催されました。

(当ブログは2017年12月13日に米国で発表された The future of API banking dominates SIBOSブログ記事の抄訳です)

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