基本に立ち返る:エンタープライズ・バックアップ&リカバリの「周期表」

デジタル依存が高まり続ける現代において、情報こそが…

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7月 11, 20251 min read

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デジタル依存が高まり続ける現代において、情報こそが最も価値ある資産となっています。膨大なデータを効果的に管理・保護し、必要なときにすぐに検索・活用できる体制を整えることは、企業の競争力を高めるうえで不可欠です。

データはもはや単なるIT資産ではなく、企業活動の中核を担う要素であり、そのライフサイクル全体を通じた適切な取り扱いが、激しい市場競争に勝ち抜くための鍵となります。

問題は、データの増加スピードにIT部門の対応が追いつかないことです。これにより、ITリーダーたちは、より柔軟で俊敏なインフラの構築を迫られています。

情報の量と多様性が爆発的に増加するなか、企業はそれに伴うさまざまな課題に対応すべく、多様なデータ保護ソリューションを導入する必要があります。そしてその解決策は明快です。

拡大し続けるデータ環境に対応するには、バックアップとリカバリの手法も進化し、高度な柔軟性を備え、現在および将来のニーズに対応できなければなりません。

バックアップとリカバリは、BCP(事業継続計画)の基本であり、セキュリティ戦略の中でも重要性を増しています。実際、それはプロセスとポリシーの集合体として定義され、企業のサイバーレジリエンス戦略の中核を成すべきものです。

適切な保護体制、そしてそれ以上に重要な「迅速かつ確実な復旧プロセス」がなければ、突発的な危機に対処することはできません。

この基盤の上に構築されるべき概念が「サイバーレジリエンス」です。

サイバーレジリエンスとは、サイバー脅威に備え、それに対応し、そしてそこから回復することで、企業が持続的に成長できるようにする能力ですが、究極の目標は、危機・パンデミック・経済変動など、あらゆる困難な状況下においても、企業が活動を継続・発展させることにあります。

このビジョンを実現するには、市場のニーズに応じたエンタープライズ・バックアップ&リカバリの機能を体系的に整理・理解することが求められます。

19世紀、化学元素がその性質に基づいて「周期表」に整理されたように、現代のバックアップ&リカバリの世界でも、複雑なエコシステムを構成する技術や機能を分類し、関係性を可視化することが必要です。

それが「エンタープライズ・バックアップ&リカバリ・ソリューション周期表」です。

この周期表を通じて、以下の観点から検討すべき項目を整理できます:

◾ 関連技術

バックアップの基本機能として、テープバックアップ、多重化、重複排除、アプリケーション統合などの技術が含まれます。

◾ サイバーレジリエンスの要素

異常検知、データ暗号化、エアギャップ、セーフゾーン・リカバリ(またはクリーンルーム)など、脅威発生時の迅速な回復を支える機能。

◾ 柔軟な展開と保護

OSレベルのバックアップエージェントを活用し、ファイル単位からシステム全体まで柔軟に保護可能にする設計。

◾ アプリケーション統合

主要なミッションクリティカルアプリケーションとのシームレスな連携。幅広いアプリケーションを単一ベンダーで対応することで、IT戦略の効率化を実現します。

◾ 仮想・クラウド・コンテナ対応

BroadcomによるVMware買収を受け、仮想化基盤の見直しが進む中、Kubernetesや主要クラウドとの連携強化が求められています。バックアップ&リカバリも、これら新環境とレガシー双方への柔軟な対応が不可欠です。

◾ 戦略的コンセプト

ゼロトラスト、BCP、RPO/RTOといった戦略概念も常に意識すべきです。信頼性の高いバックアップ体制とは、最悪の事態においても確実に復旧できるものです。

◾ チャネルエコシステム

MSP、SIer、リセラー、ディストリビューターなど、多層的なITパートナーエコシステムの存在も重要な要素です。

◾ セキュリティ規制への対応

DORAやNIS2などの国際的規制は、サイバーレジリエンスのあり方を根本から変えつつあります。最新のセキュリティ指令への適合は、今や競争優位の鍵です。

◾ ペルソナ(関係者)

サイバーレジリエンス戦略は、IT担当者だけでなく、経営層、業務部門など、組織全体に影響を与える広範なテーマです。

これらの要素はすべて、より包括的な「情報管理エコシステム」の一部です。アプリケーションセキュリティ、アイデンティティ管理、エンドポイント保護、可観測性、テスト自動化など、多様な分野と密接に関係しています。

しかし現実には、多くのベンダーがポイントソリューションしか提供しておらず、断片的な機能や過去の負債に縛られています。

一方で、情報が企業の生命線となった今、データの損失はもはや許されません。そして、データ量の増大により、そのリスクは日々高まっているのです。

広い視野でこの課題に向き合うことにより、「真のサイバーレジリエンスとは何か?」という問いに答えることが可能になります。

単に“火を消す”のではなく、“森全体を理解する”ことが、これからのバックアップ&リカバリ戦略には求められています。

今回ご紹介した「エンタープライズ・バックアップ&リカバリ周期表」について、今後はさらに深掘りしていく予定ですので、どうぞご期待ください。

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