企業のIT運用において、バックアップは長らく「もしものための対策」として位置づけられてきました。システム障害やサイバー攻撃が起きても、データを元に戻せること。それ自体は、今も変わらず重要です。
しかし最近、その“前提”が少しずつ揺らぎ始めています。データ量の増大、AI活用の広がり、そして監査や規制の高度化。こうした環境変化の中で、バックアップにはこれまでとは異なる役割が求められるようになってきました。
なぜ今、バックアップの役割が変わり始めているのか
かつては、バックアップが正しく取得され、復旧できること自体が評価の対象でした。ところが現在は、それだけでは十分とは言えません。監査や経営報告の場では、「データは存在するか」ではなく、「そのデータを、なぜ信頼できると言えるのか」という説明が求められるケースが増えています。
バックアップもまた、単なるIT運用の一部ではなく、企業としての説明責任や信頼性を支える仕組みの一部として見直されつつあるのです。
「データは戻ったのに使えない」状況が生まれる背景
障害やインシデントから復旧した直後、「データは戻った。しかし、そのまま業務で使ってよいのか判断できない」、そんな状態に陥ったことはないでしょうか。例えば、次のような疑問が残るケースです。
- 復旧したデータは、本当に改ざんされていないのか
- 誰が、どの権限で、どのような判断をして復旧したのか
- そのプロセスを、後から第三者に説明できるのか
こうした点を説明できなければ、業務再開はもちろん、監査や経営報告、AI活用にも支障が出てしまいます。「復旧できる」ことと、「安心して使える」ことは別物なのです。
バックアップに求められるのは「可用性」だけではない
これからのバックアップに求められる価値は、単なる可用性や復旧性能にとどまりません。重要なのは、
復旧後のデータについて、
- どの時点のデータなのか
- どのようなプロセスを経て復旧されたのか
- その正当性を説明できるか
といった点を、後からでも明確に示せることです。バックアップ運用そのものが、「説明可能なプロセス」として設計・管理されているかどうかが、データの信頼性を大きく左右します。
バックアップと記録管理を連携させるという選択
OpenTextは、この課題に対し、バックアップ管理と記録管理を分断せずに捉えるというアプローチを提案しています。バックアップやリストアを実行するOpenText Data Protector と、記録管理・ガバナンスを担う
OpenText Content Manager を連携させることで、バックアップ運用に伴う操作や判断を「記録」として残せるようになります。
これにより、バックアップは単なる技術的な処理ではなく、統制された業務プロセスの一部として位置づけられます。
日本企業で想定される具体的な活用シーン
この考え方は、特別な業界や大規模企業だけのものではありません。
日常的な運用の中で、次のような形で効果を発揮します。
- バックアップや復旧の操作履歴を、監査対応にそのまま使える形で残す
- AIやデータ分析で、「どの時点のデータか」を説明できる状態を保つ
- 緊急対応や特権操作についても、判断の経緯を含めて可視化する
属人化しやすい運用を整理し、IT部門とガバナンス部門の間にある溝を自然に埋めていく。そうした効果が期待できます。
「From Backup to Trust」という視点
バックアップは、もはや「万が一のための保険」ではありません。
- 監査で説明できる
- 経営判断に耐えられる
- AI活用の前提として安心して使える
こうした条件を満たすための、信頼できるデータ基盤の一部へと進化しています。
「From Backup to Trust」という考え方は、バックアップをIT運用の話に閉じるのではなく、企業全体の信頼性をどう支えるかという視点で捉え直す提案だと言えるでしょう。
参考
OpenText Data Protector
https://www.opentext.com/jp/products/data-protector
OpenText Data Protector、DCIGレポートでトップ5にランクイン
https://blogs.opentext.com/ja/opentext-data-protector-ranked-in-top5-in-dcig-report-jp/